InputとOutputの相関(1)
はじめの頃にoutputは後からでもついてくると言いました(話すスキルはついてくる・話せるようになるのは速い)。そして初・中級者向けにoutput上達のための学習例にも少しだけ触れました。ここではもう少し詳しくinputとoutputの相関関係をreviewしながら、その傾向と対策、そしてその限界に触れてみましょう。
- TOEICを例にとりましょう。TOEICではreadingとlisteningしか試験ではでません。しかし、それでも英語によるcommunication能力が総合的に評価できるとしています。これはinputのスキルがoutputのスキルと相関関係があるという前提があるからです。平たく言えば、inputがここまでできる人ならば、outputも同じように”あるレベル”までできるだろうとみなしていると言うことです。
- これは基本的には間違っていません。経験的にも殆どそうだと思います。ただ気をつけないといけないのはinputとoutputの能力比は必ずしも1:1ではないと言うことです。そしてそれはどのようにして英語能力の習得をしてきたかに大きく依存しているようです。
- わかりやすくグラフを使って説明しましょう。
- 横軸にinputの能力、縦軸にoutputの能力を示しています。理想的にはinputとoutputが同じようにのびていく点線のような1:1の相関が望ましいわけです。しかしながら実際には実線で示したような感じになっている人が非常に多いと思います。特にTOEIC受験のための学習、というような手法をとってきた人ほど顕著です。必ずしもそうではなかった人でも程度の差こそあれ、この傾向はあると思います。(私の過去の経験や、うちの会社の日本人スタッフ・入社希望者をみても同じような傾向があります。)
- もちろん、これはoutputに必要な書く・話すの訓練が圧倒的に少ないと言うことに起因しています。日常の学習方法を考えるとこれは無理もありません。特に書く訓練をしている人は学習者のなかでは通常かなり少ないですしね。
- そして青の実戦で示したように、ある時期から英語のoutputを必要とされる環境にどっぷりとつかり始めるとかなり顕著にoutputがinputのスキルに追いついてきます。
- 逆に言えば、そういう否が応でも必要にさらされない限りoutputの上達はかなり意識して取り組む必要があると言うことです。次のページではそのあたりを考えてみましょう。